隠寮
いんりょう
名詞
標準
文例 · 用例
かの女は女学校を卒業して親の家で結婚前の生活をしてゐる期間に、望まれて父親の知合ひで郊外に隠寮を持つ退職官吏Yの家へ客分として預けられることになつた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
雪子の父はなまじなよその夫人よりY家の主人を非常に厳格な躾け正しい人と信じてゐたから…… かの女はちよつとした嫁入支度ほどの調度を持つて、Yの隠寮へ寄寓した。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
精進料理をいたゞきつゝ、対談なんと六時間、隠寮はきよらかにしてあかるし。
— 昭和十四年 『旅日記』 青空文庫
△保間素堂――『閑隠寮の秋』一人の女が化粧してゐるが、その手の形の小さゝ、お白粉のつきの悪さ、色の剥げた肩など過去の女を思はせる、古い東洋性の没落を代表してゐるやうな女性を描き得てゐる。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
あの大きな体をもって、方丈の方から、わしらのおる処の庭先を通って、トンネルを抜けて、隠寮へ帰らるるのを、よく覚えておる。
— 鈴木大拙 『鹿山庵居』 青空文庫
今でも隠寮へ行くと懐旧の情が涌いて来る。
— 鈴木大拙 『鹿山庵居』 青空文庫
その朝ふと隠寮へ行って侍者寮におると、奥でどさりと音がした。
— 鈴木大拙 『鹿山庵居』 青空文庫
わしが老師の亡くなられるとき、丁度隠寮に来合わしておったと云うことが、何かの因縁でもあるかのように今でも思うておる。
— 鈴木大拙 『鹿山庵居』 青空文庫