西芳
さいほう
名詞
標準
文例 · 用例
その中には一時大阪で盛んに人気を湧かして弦斎以後の全盛を極めた渡辺霞亭の旧名朝霞や、不幸にして早世して今では殆んど忘れられた慶応出身の小説家|井上笠園や、達摩の蒐集家として奇名隠れなかった理学士西芳菲山人の名が見える。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
五月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(西芳寺の写真絵はがき)〕 きょうは七十九度ありました。
— 一九四三年(昭和十八年) 『獄中への手紙』 青空文庫
十三、西芳寺 西芳寺は苔寺ともいはれる程、苔が庭を隙間なくたたみ込んで、いまは冬どきの庭の骨を見るばかりであるが、厚い苔が深々と少しさびれを見せて一面に生えてゐた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
薪一休寺でもすぎ苔が美しかつたが、何といつても廣大な庭一面に苔の生えてゐるところは、西芳寺だけであつた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
西芳寺は一人二十錢に定めてあつたが、そのくらゐに定めたらいかゞなものでせう。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
西芳寺などは、苔寺、茶室、お寺のおばさん、たつつき、杉苔、夢窓國師、どんぐりのおちてゐる徑、石の山、五萬坪の藪、といふふうで、他人が見たら少しも分らなかつた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫
薪一休寺、西芳寺、龍安寺、高桐院、――それらの庭々の苔はまるでゆめのやうに、眼に殘つて蒼かつた。
— 室生犀星 『京洛日記』 青空文庫