紅皿
べにざら
名詞
標準
文例 · 用例
そして何やら探す樣であつたが、取り出したのは一個の小さい皿――紅皿である、呀と思つて見て居ると、唾に濡した小指で其紅を融かし始めて二度三度薄からぬ脣へ塗りつけた。
— 石川啄木 『葬列』 青空文庫
そして何やら探す様であつたが、取り出したのは一個の小さい皿――紅皿である、呀と思つて見て居ると、唾に濡した小指で其紅を融かし始めて二度三度薄からぬ唇へ塗りつけた。
— 石川啄木 『葬列』 青空文庫
時雄の書斎にある西洋本箱を小さくしたような本箱が一閑張の机の傍にあって、その上には鏡と、紅皿と、白粉の罎と、今一つシュウソカリの入った大きな罎がある。
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿やら罎やらを順序よく並べた。
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
机、本箱、罎、紅皿、依然として元のままで、恋しい人はいつもの様に学校に行っているのではないかと思われる。
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
だから芸目でも、葛の葉を筆頭に、お初・岸姫松のおそよ・金比羅利生記のお辻・お三輪・玉手御前・毛谷村のお園・皿屋敷のお菊・三荘太夫の鶏娘・白石噺の信夫・紅皿欠皿の欠皿・月笠森のおきつ。
— ――中村魁車を誄す―― 『街衢の戦死者』 青空文庫
それは、紅皿から指で筒の口へ捺つたものに相違ありません」「えツ」「見たところ、ほんの少しでも、口紅をさして居るのは、この家の中では御新造だけだ。
— 南蠻祕法箋 『錢形平次捕物控』 青空文庫
――この通り」 ガラツ八は懷ろから平次に言はれた通り、又六の家から持つて來た白粉の紙包みと紅皿を出して見せるのでした。
— 凧の詭計 『錢形平次捕物控』 青空文庫