手染め
てぞめ
名詞
標準
文例 · 用例
手染め澁染の衣は、これは慥に畸人の大槻如電と相客になつた時、流石の如電先生もその澁臭いのに悲鳴を擧げさせられたといふ。
— 幸田露伴 『淡島寒月のこと』 青空文庫
源氏の直衣の材料の支那の紋綾を初秋の草花から摘んで作った染料で手染めに染め上げたのが非常によい色であった。
— 野分 『源氏物語』 青空文庫
それから糸にしてからも、紺は手染めができないので、あの頃ぽつぽつできていた職業の紺屋に誂えて染めさせ、機を立てる段になって始めて女の手わざに移ったのである。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
その女の子は手染の着物をきて、裸足のままだったが、新らしい泥をべっとりつけた足は、遠くから見ると長靴ばきのように見えた。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
栄さんがあなたのシャツ類を編んでいてくれたのが待っていて、お茶をのんであのひとはかえり、私は島田の母様[自注8]が私へ下さったお手染のチリメンの半襟を又眺めなおして、いただいたコーセンをしまって、手伝いに来ているお婆さんをやすまして、それからドテラを着てね、さて、と机に向ったわけなのです。
— 一九三四年(昭和九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
それに本文は十二ポの活字、表紙は布に手染、(第一巻十二冊は芹沢※助君の作)または和紙に漆(これは鈴木繁男の作)それに挿絵が多いから金がかかる。
— 柳宗悦 『民藝四十年』 青空文庫