気を引き立てる
きをひきたてる
表現動詞-一段
標準
to cheer
文例 · 用例
方々は慰問の御|挨拶をなされたのであるが、源氏は最後に残って、驚きと悲しみに言葉も心も失った気もしたが、人目が考えられ、やっと気を引き立てるようにしてお居間へ行った。
— 榊 『源氏物語』 青空文庫
実験が思わしく進まぬとき、屡ば私は徹夜して気むずかしい顔をしながら働きましたが、そのようなとき妻もまた徹夜して、どこまでも私の気を引き立てるようにつとめて呉れました。
— 小酒井不木 『人工心臓』 青空文庫
柳麗玉 (気を引き立てるように噴飯す)ぷっ、嫌よ、あんなやつに似ちゃあ――。
— ――十四の場面―― 『安重根』 青空文庫
渡辺刑事は、口を結んで黙っている下|顋の張った同僚の横顔をチラリと見て軽く舌打をしたが、然し対手の気を引き立てるように言った。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
床屋の親方が、みんなの気を引き立てるような弾んだ調子で、お高へ話をもっていった。
— 矢田津世子 『凍雲』 青空文庫
そうして私は気を引き立てるようにしてあの方と世間並みの挨拶などを交わしているうちに、その間私の方をしげしげと見ていらっしゃるあの方の暗い眼ざしに私の窶れた様子があの方をも同じように悲しませているらしいことをやっと気づき出した。
— 堀辰雄 『楡の家』 青空文庫
と潜んだ気持まで呼び起す様な事が無いものではないと思って居たので、出来るだけ気を引き立てる様に気を引き立てる様にとはしながら別に立ち入った気持まで聞く様な事は仕ずに居た。
— 宮本百合子 『お久美さんと其の周囲』 青空文庫
が、五六日立つと、女は又気を引き立てるようにして、宮へ上がって往くのだった。
— 堀辰雄 『姨捨』 青空文庫