巣籠もり
すごもり
名詞
標準
文例 · 用例
巣籠もり眠ったに相違ない。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
昨日通りがかりに、小田原の鎮守の社へ、参詣をして来たが、御城の石垣の白いのが、鶴の巣籠のように見える。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
岩谷の片身難さぬ尺八も、妻の琴に合わせて吹きすさんだ思い出の楽器で、彼はお座敷でも、女たちの三味線に合わせて、時々得意の鶴の巣籠りなどを吹くのだった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
――18―― その夜頭に繃帯をした武丸は歌寿の家の前に立って「鶴の巣籠り」を吹いた。
— 夢野久作 『黒白ストーリー』 青空文庫
ユダヤの宇宙開闢説の中にはまた世界の卵という考えに関するフェニシアの創世伝説の痕跡のあることは『エロヒームの精霊が水の上に巣籠りした(〔bru:tete.〕 通例「浮揺していた」schwebte と訳してある)』という文句からうかがわれる。
— スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 『宇宙の始まり』 青空文庫
胡頽子の灌木が行手を遮り、それを彼が迂廻った時、巣籠っていた山鳩が、光に驚いて眼を覚ました。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
二人|巣籠るこのほとり眼路のかぎりはおしなべて 黄金の花の毛莨、野末の線は白銀に、 いぬ芹生ふる山※子の垣根の端に連なりぬ。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
何か一つの転機が、彼女の上に新らしい刺戟と感動とを齎しさえすれば、一旦は霜枯れたそれ等の華も、目覚ましい色をもって咲き満ちる可能性が、一つ一つの細胞の奥に巣籠っていたのである。
— 宮本百合子 『地は饒なり』 青空文庫