征旅
せいりょ
名詞
標準
文例 · 用例
其奥には社殿の燈明――私は其一生を征旅の中に送つて、この辺土に墓となつた征西将軍宮の事蹟を考へて黯然とした。
— 田山花袋 『父の墓』 青空文庫
予は孑然たる征旅の客の深山|大沢を恐るるが如く、この梅花を恐れざる可からず。
— 芥川龍之介 『続野人生計事』 青空文庫
然れども思へ、征旅の客の踏破の快を想見するものも常に亦深山大沢なることを。
— 芥川龍之介 『続野人生計事』 青空文庫
彼が、余り屡々、また余り長い間音信も出来ない征旅についていた故か、三人の妻妾等は互の間に姉妹より睦しい情誼を結んだ代り、ルスタムとは、君臣の関係が溶けきれずに遺った。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫
海道下りは遠くから来た神が、其道筋の出来事を語る辛苦物語から出てゐるもので、道行ぶりの古い形が其で、早く、神人流離の物語や、英雄征旅の史実の様になつたものです。
— 折口信夫 『翁の発生』 青空文庫
予は孑然たる征旅の客の深山大沢を恐るるが如く、この梅花を恐れざる可からず。
— このジャアナリズムの一篇を謹厳なる西川英次郎君に献ず 『梅花に対する感情』 青空文庫
敵国深くへはいった信長の、征旅の苦境を知ると、果然その妹聟は、鉾を逆しまにして、信長の背後を脅かし、織田軍をして、あの退敗を余儀なくさせたのである。
— 第四分冊 『新書太閤記』 青空文庫
世変転化は、落花と倶に行く春の移りも早く、甲州の山野は信長の領下に染められ、右府信長の征旅は日程のとおりすすんだ。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫