戻り橋
もどりばし
名詞
標準
文例 · 用例
その昔、一条戻り橋にあらわれたという鬼女のように、彼女は薄絹の被衣を眉深にかぶって、屋形の四足門からまだ半町とは踏み出さないうちに、暗い木の蔭から一人の大きい男が衝と出て来て、渡辺の綱のように彼女の腕をしっかりと掴んだ。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
○十一月、歌舞伎座の中幕に「戻り橋」を初演。
— 岡本綺堂 『明治演劇年表』 青空文庫
ある時日の暮れ方に急ぎ歩で一条戻り橋を通りかゝると、橋の下から、「安倍氏々々」と言つて自分の名を呼ぶものがある。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
」 安倍氏はかうも考へたので、その後はどんな急用があつても、戻り橋だけは通らない事に定めてゐると聞いた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
安倍氏も一つ思ひ切つてその鬼を戻り橋の下から引張り出して大学の構内にでも追ひ込んだら面白からう。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
その下に見える釣橋が戻り橋だ。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
それがとうとう搦めとられた上、今度一条|戻り橋のほとりに、曝し首になったと云う事も、あるいは御耳にはいって居りましょう。
— 芥川龍之介 『報恩記』 青空文庫
ところがどうでございましょう、この頃|往来の話を聞けば、阿媽港甚内は御召捕りの上、戻り橋に首を曝していると、こう申すではございませんか?
— 芥川龍之介 『報恩記』 青空文庫