焼焦
しょうしょう
名詞
標準
文例 · 用例
」 この方は、袖よじれに横倒れで、鉄張りの煙管を持った手を投出したまま、吸殻を忘れたらしい、畳に焼焦――最も紳士の恥ずべきこと――を拵えながら、うとうとしていた。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
畳に焼焦しが一つないのは、此家に来る客は特別に行儀が好いのか知らんなぞと思ふ。
— 森鴎外 『追儺』 青空文庫
それを見ると私は思わず視線を外らして、眼の前の小さな焼焦げを見たが、その中から覗いていた黒ん坊の顔はもうアトカタもなく消え失せていた……と同時に私の頬や、首筋や、横腹あたりが、ザワザワザワと粟立って来るのを感じた。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
泥塗れのビショ濡れになってる夜具包や、古行李や古|葛籠、焼焦だらけの畳の狼籍しているを横に見て、屋根も簷も焼け落ちて真黒に焼けた柱ばかりが立ってる洋物小売部の店(当時の丸善の仮営業所は鍵の手になっていて、表通りと横町とに二個処の出入口があった。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
一方の片隅には肩掛や膝掛が焼焦だらけ水だらけになって一と山積んであった。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
『リンスホーテンもこんなになって了いました、』とKは懐ろからバラ/\になった焼焦だらけの紙片を出して見せ、『落ちてたのを之だけ拾って来ました。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
泥塗れのビショ濡れになってる夜具包や、古行李や古|葛籠、焼焦だらけの畳の狼籍しているを横に見て、屋根も簷も焼け落ちて真黒に焼けた柱ばかりが立ってる洋物小売部の店当時の丸善の仮営業所は鍵の手になっていて、表通りと横町とに二個処の出入口があった。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻』 青空文庫
佐藤は水際まで歩み寄つて、またもや頭巾を刎ねのけ荷物をおろし、顔より先に眼を洗つたり、焼焦だらけの洋服の塵を払つたりした後、棒のやうになつた両足を投出して、どつさり其場に寝転んでしまつた。
— 永井荷風 『にぎり飯』 青空文庫