幹々
幹々
名詞
標準
文例 · 用例
それからのんきに根津山の新緑の美しさ、その新緑のなかに黒い幹々の新鮮な色を絵にかきたいと思いながらかえったら玄関にかけて待っている人。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
西日は木立の幹々を黒く浮き立たしてその叢にさしていますが、花の上に散り重ったはじの葉の色に、あらゆる光と熱をあつめたように、一点にこって滴ります。
— 一九四三年(昭和十八年) 『獄中への手紙』 青空文庫
植込まれた楓が、さびてこそおれ、その細そりした九州の楓だから座敷に坐って、蟹が這い出した飛石、苔むした根がたからずっと数多の幹々を見透す感じ、若葉のかげに一種独特な明快さに充ちている。
— 宮本百合子 『九州の東海岸』 青空文庫
地面には羊歯科の植物が茂るまま茂り、幹々の奥の薄暗がりを蛍に似た発光体がすいすいと飛んだ。
— 梅崎春生 『日の果て』 青空文庫