縁引
えんびき
名詞
標準
文例 · 用例
私ゃまたお上さんがお近しいから、そんな縁引きで今度親方のとこへも来なすったんだと思いまして……いえね、金さんの方じゃ知んなさらねえようだが、私ゃ以前あの人の家のじき近所に小僧をしていて、あの人のことはよく知ってますのさ」「そう、いつごろのこと?
— 小栗風葉 『深川女房』 青空文庫
予の話した柳田國男氏の『遠野物語』にもあるが、女は比較的無事円満に山に住み山男の子どもなどを産んでいることができるらしいが、男は多淫の山女に縁引きされると初めのうちはひどく好遇されるけれども、精力消耗してくるとたちまち殺されて食われてしまうということである。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
それは斯ういふ縁引からである。
— 大森貝塚の發掘 『探檢實記 地中の秘密』 青空文庫
父親というひとは蘭医で、阿蘭陀の草木にくわしい人だそうで、新田というひとも離家で朝から晩まで本ばかり読んでおります」「それはなんだ、阿波屋の親戚でもあるのか」「いいえ、縁引きのなんのじゃありません、早い話が居候。
— 蠑※ 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
一人の方は、賭け試合の看板名に前座を勤めている金井一角で、小六がこの小屋掛けの地内を臂の久八から借りた縁引をもって、小遣い稼ぎに割り込んだものである。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
この虚無僧には、少し縁引のある某、義に依って助太刀するから、束になってかかって来い」「や、御曹子の新九郎だとッ」「その男なら、こっちから尋ねていたところ、事ついでに素ッ首を刎ねてやるから覚悟をしろ」「何を」 と、雄叫びを揚げるや否、右に大剣、左に小剣、バラバラと斬って廻った。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
「そこで、対手を怖れる訳ではないが、ちと公儀の大奥へ縁引きのある女、殊に屋敷は御上地のお船見屋敷だ、そこを打っ壊せば幾ら木偶の坊に等しい奉行でも、黙って見ている訳にゆくまい。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
鵜沼の虎といわれている猛将です」「あの男に……その虎に……何か近づく縁引はあるまいか」「ないこともありませぬ」「あるか」「治郎左衛門の弟に、大沢主水なる者があります。
— 第三分冊 『新書太閤記』 青空文庫