話声
わせい
名詞
標準
文例 · 用例
十月十六日政夫民子様 学校へ行くとは云え、罪があって早くやられると云う境遇であるから、人の笑声話声にも一々ひがみ心が起きる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
がその響すらも、人々の熱中した話題の興味と、婦人たちのはしゃいだ話声の中で消されてしまった。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
家内のちょっとした物音や話声にも、感興を破られたといって苦情を言った。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
彼女が屋根と屋根との間から落ちる、やつと自分の背幅程の日向に、自分のおかつぱの影を見付けた時に、小僧とお祖母さんの話声が聞え出してゐた。
— 中原中也 『良子』 青空文庫
――恰度百姓娘の、赤いネルの腰巻を思はせるやうな夏の日の夕飯仕度の頃の中でされるには余りに相応しいそれらの話声や物音であつた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
喧騒の声が地下室に充ちて向き合っての話声も聞取れなくなった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
――壇の下に寝ていると、雛の話声が聞える、と小児の時に聞いたのを、私は今も疑いたくない。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
さて、夫人は、谷屋の手代というのを、隣室のその十畳へ通したらしい、何か話声がしている内、「早瀬さん――」 主税は、夫人が此室を出て、大廻りに行った通りに、声も大廻りに遠い処に聞き取って、静にその跡を辿りつつ返事が遅いと、「早瀬さん、」 と近くまた呼ぶ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫