工賃
こうちん
名詞頻度ランク #29380 · 青空 32 例
標準
labor cost
文例 · 用例
澱粉の材料となる馬鈴薯は、澱粉の市價が下つたために、而して薯掘の工賃が稀有に高いために、掘り起されもせずにあるので、作物は粗剛な莖ばかりに霜枯れたけれども、生ひ茂る雜草は畑を宛ら荒野のやうにしてしまつたのだ。
— 有島武郎 『秋』 青空文庫
仕上り二年間の見積の処が、一年と持たず、四月五月といううちから、職人の作料工賃にも差支えが出来たんですって、――それがだわね、……県庁の息が掛って、つなぎの資本をおろしていた大商人が、相場か何かで、がらがらと来て、美術工業の奨励、県庁のためどころではなくなったんです。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
十一月に入ると間もなく、私は今までにない寒さを感じ始めたので、高価い工賃を払って昼間線を取って、上等の電気|炬燵を一個、敷き放しの寝床の中に入れた。
— 夢野久作 『鉄鎚』 青空文庫
ウチの寺へ石塔を建てて、その細工賃を一年ばかり石屋へ引っかけて、拙僧に迷惑をかけとる奴じゃ。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
祖母は、その日もおなじほどの炎天を、草鞋穿で、松任という、三里隔った町まで、父が存生の時に工賃の貸がある骨董屋へ、勘定を取りに行ったのであった。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
――今朝も、その慈愛の露を吸った勢で、謹三がここへ来たのは、金石の港に何某とて、器具商があって、それにも工賃の貸がある……懸を乞いに出たのであった―― 若いものの癖として、出たとこ勝負の元気に任せて、影も見ないで、日盛を、松並木の焦げるがごとき中途に来た。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
こう陳列すると、一並べ並べただけでも、工賃作料したたかにして、堂々たる玄関|構の先生らしいが、そうでない。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
されば妾出獄の時は相応の工賃を払い渡され、小遣い余りの分のみにてもなお十円以上に上りぬ。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫