水苔
みずごけ
名詞
標準
文例 · 用例
石油を撒き、石油ランプをともし、子供が脛まで、くさった水苔くさい田の中へ脚をずりこまして、葉裏の卵を探す代りに。
— 黒島傳治 『浮動する地価』 青空文庫
ホテルの水苔の生えた石段から私はゴンドラに乗った。
— 岡本かの子 『橋』 青空文庫
代赭色の小鉢に盛り上がった水苔から、青竹箆のような厚い幅のある葉が数葉、対称的に左右に広がって、そのまん中に一輪の花がややうなだれて立っている。
— 寺田寅彦 『病室の花』 青空文庫
指すところをじっと見守っていると、底の水苔を味噌汁のように煽てて、幽かな色の、小さな鮒子がむらむらと浮き上る。
— 鈴木三重吉 『千鳥』 青空文庫
いつも水につかつてゐる青い髪や、青い長い口ひげは、もはや水苔のやうにどろどろにふやけて、顔中には、かぞへ切れないほどのしわが、ふかくきざまれてゐました。
— 鈴木三重吉 『湖水の鐘』 青空文庫
ぬるっと、触れた手には水苔がついてくる。
— 水棲人 『人外魔境』 青空文庫
ぐるりは、水苔のついた軟かな土、ところどころに、埋れ木の幹が柱のようにみえている。
— 水棲人 『人外魔境』 青空文庫
門のなかには二十坪ほどの庭があって、その半分は水苔の青い池になっていた。
— 冬の金魚 『半七捕物帳』 青空文庫