錠口
じょうぐち
名詞
標準
文例 · 用例
小厮の平吉はその戸の錠口へ鍵を入れて錠を放したが、重いので手ぎわよく啓けることができなかった。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
二百何十年来この木曾地方を支配するようにそびえ立っていたあの三|棟の高い鱗茸きの代官屋敷から、広間、書院、錠口より奥向き、三階の楼、同心園という表居間、その他、木曾川に臨む大小三、四十の武家屋敷はことごとく跡形もなく取り払われた。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
お庭をわたる松風の音と、江戸の町々のどよめきとが、潮騒のように遠くかすかに聞こえてくる、ここは、お城の表と大奥との境目――お錠口。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
その中間の関所ともいうべき、このお錠口は、用向きはいちいちここで取り次いで、なんびとといえどもかってに出はいりを許されない。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
お錠口をはいったお廊下のすぐ横手に、お部屋をいただいて、そこに無礼ごめんをきめこんでいるのが、天下にこわい者のない愚楽さん。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
」 お錠口御免の出入りの小間物屋だった。
— 林不忘 『元禄十三年』 青空文庫
徳川時代の官制で云えば、お錠口へ来たのである。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
念のため、一人ずつ糺明して見たが、双互の口合いからおして、一人として錠口までも来たものがないことがわかった。
— 稲荷の使 『顎十郎捕物帳』 青空文庫