検覈
けんかく
名詞
標準
文例 · 用例
けだし我々がいちがいに自然主義という名の下に呼んできたところの思潮には、最初からしていくたの矛盾が雑然として混在していたにかかわらず、今日までまだ何らの厳密なる検覈がそれに対して加えられずにいるのである。
— 石川啄木 『時代閉塞の現状』 青空文庫
すべてこれらの誤謬は、論者がすでに自然主義という名に含まるる相矛盾する傾向を指摘しておきながら、なおかつそれに対して厳密なる検覈を加えずにいるところから来ているのである。
— 石川啄木 『時代閉塞の現状』 青空文庫
われ等は寧ろその細かい空気と気分とを検覈し、観察して、以てそこから人間を学ばなければならない。
— 田山録弥 『須磨子の死』 青空文庫
此等の学説を、比較検覈して、勉めて公平着実の眼を以て、その何れを取り、何れを捨つ可きや、甲の説は何れの程度まで参酌す可きや、乙の論は如何なる点に於て、不適当なるやを、判別するを要す。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
彼はあらゆる方面から自分を検覈してみた。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫
それでも彼は、そういう打撃の後に自分の本心をのぞき込み、自らおのれを検覈せざるを得なかった。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫
筆者は少年のころから専らにんじゅつを愛好しかつ惑溺するあまり、これが史的事業の検覈と究明のため、文献を渉猟し遺跡を踏査して、すでにその蘊奥をきわめているが、その眼をもってこれら一連の猿飛小説をみるに、その小市民的みみっちさとけち臭き合理主義とに憫笑を禁じ得ないのである。
— 忍術千一夜 第一話 『艶妖記』 青空文庫
惜福の工夫十分なる人が、福運の來訪を受くること多きは、實際の事實で有つて、遠く史上の古人に就て之を檢覈するを須ひず、近く吾人の目睹耳聞するところの今人に就て之を考査すれば、直に明瞭なることであるが、分福の工夫十分なる人が、好運の來訪を受くること多きも、亦明白なる事實である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫