花紅葉
はなもみじ
名詞
標準
文例 · 用例
この辺りは荒川西より東に流れて、北の岸は卑湿の地なるまゝいと荒れたれば、自然の趣きありて、初夏の新蘆栄ゆる頃、晩秋の風の音に力入りて聞ゆる折などは、川面の眺めいとをかしく、花紅葉のほかの好き風情あり。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
夕方に風の吹き出した日、中宮はいろいろの秋の花紅葉を箱の蓋に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
花紅葉吉原八景だの、小稲半兵衛唐崎|心中だのつて中々面白いのがあるよ。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
碧暗い海の潮を呑んでいる此の町の家々は彩紙で造った花紅葉を軒にかざって、岸につないだ小船も、水に浮かんだ大船も、ことごとく一種の満艦飾を施していた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
井楼、矢倉、隙間もなく立置き、持口々々に大将家々の旗をなびかし、馬印、色々様々にあつて、風に翻り粧ひ、芳野立田の花紅葉にやたとへん。
— 菊池寛 『小田原陣』 青空文庫
花紅葉吉原八景だの、小稲半兵衛唐崎心中だのってなかなかおもしろいのがあるよ。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
春ならば花さかましを、秋ならば紅葉してむを、花紅葉今は見がてに、常葉木も冬木もなべて、緑なる時にしあれば、遠近の畳なづく山、茂り合ふ八十樹の嫩葉、あはれとも看したまはな。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
はかなき花紅葉につけても、今のよのさまなどうたへるをば、いみじういやしきものに云ひくだすこゝろしりがたし。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫