竜吐
りゅうど
名詞
標準
文例 · 用例
四尺上に往きましたけれども御承知の通り、水は高うございますから、やはり竜吐水のように向こうの方によく落ちるのです。
— 内村鑑三 『後世への最大遺物』 青空文庫
竜吐水を、邸の周囲へ置いて」 六十を越したが、未だ年に二度ずつ、大阪を出て、江戸から、鹿児島へ巡廻して来る元気のある調所は「馬の支度」「御前が――」「見に参る。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
第二の興味深い来訪は、手動の竜吐水ポンプを携えて、装束に身を包んだ地元の火消たちであった。
— BITS OF LIFE AND DEATH 『死生に関するいくつかの断想』 青空文庫
いうまでもなく、消防夫は鳶といって、梯子持ち、纏持ちなどなかなか威勢の好いものであるが、その頃は竜吐水という不完全な消火機をもって水を弾き出すのが関の山で、実際に火を消すという働きになると、今日から見ては他愛のない位のものであった。
— その頃の消防夫のことなど 『幕末維新懐古談』 青空文庫
竜吐水の水はやっと大屋根に届く位、それも直接|消火の用を足すというよりは、屋根に登って働いている仕事師の身体を濡らすに用いた位のもの……ゲンバという桶を棒で担い、後から炊き出しの這入ったれんじゃくをつけて駆け出した(これは弁当箱で消防夫の食糧が這入っている)。
— その頃の消防夫のことなど 『幕末維新懐古談』 青空文庫
荒削りの巨大な柱が煤けた下に、大寺院の庫裡で見るような大きな土竈がある、三世紀以前の竜吐水がある、漬物の桶みたようなのがいくつも転がっている。
— 壬生と島原の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その御託宣をかしこまって人夫をかり立てるお取持――えんやえんやで竜吐水が繰込んで来る、蛇籠が持ち出されるという光景を見て、米友がばかばかしさを通り越して、もう一刻も我慢がなり難くなりました。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
たとえば部落の中に火事があったとしましても、一軒二軒のうちならば、手桶や盥で間に合いましょうけれど、殖えてくれば、非常手桶や竜吐水も備えなければならず、また備える費用もおのずから働き出せて来ようというものです。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫