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澱み

おどみ
名詞
1
標準
文例 · 用例
」「ええ、六年前にお逢いして、……」 言い澱み、うつむき、涙が出そうになった。
太宰治 斜陽 青空文庫
決してお怒りの御口調ではなかつたのですが、けれどもその澱みなくさらりとおつしやるお言葉の底には、御母君の尼御台さまをも恐れぬ、この世ならぬ冷厳な孤独の御決意が湛へられてゐるやうな気が致しまして、幼心の私まで等しく戦慄を覚えました。
太宰治 右大臣実朝 青空文庫
」けれどもお顔には、いささかも動揺の影なく、澱みなく言ひ終つて、やつぱりきよとんとして居られました。
太宰治 右大臣実朝 青空文庫
形のいい鼻の粗い魅力がうす黒い建物に吸いこまれると灰色のホテルの壁にそって彼女の影がコンクリートの階段を中年女の靴音をのこして一歩、一歩、女の強い忍従が右に折れると、或る部屋の扉を繊奢な澱みもなく暴々しくノックした。
吉行エイスケ 女百貨店 青空文庫
不思議な色をしたきれぎれの雲が、沸きたつては澱み、澱んではまたゆるゆると流れてゐた。
太宰治 道化の華 青空文庫
私が気乗りのしない生返事をしていたのだが、佐野君はそれにはお構いなしに、かれの見つけて来たという、その、いいひとに就いて澱みなく語った。
太宰治 令嬢アユ 青空文庫
衣食のために色々の業に従がい、種々の人間、種々の事柄に出会い、雨にも打たれ風にも揉れ、往時を想うて泣き今に当って苦しみ、そして五年の歳月は澱みながらも絶ず流れて遂にこの今の泡の塊のような軽石のような人間を作り上たのである。
国木田独歩 酒中日記 青空文庫
※ 山山にパラフ※ンの雲が白く澱み、夜が明けました。
宮沢賢治 まなづるとダァリヤ 青空文庫