掣
掣
名詞
標準
文例 · 用例
それが暗示となって青扇の心にいままで絶えず働きかけその行いを掣肘して来たのではあるまいか。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
そういう三人の監督なので総領息子の清太郎の育て方にも、ある種の掣肘が加えられました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
昨日までは叔父の家とは言いながら食客の悲しさには、追使われたうえ気兼苦労|而已をしていたのが、今日は外に掣肘る所もなく、心一杯に勉強の出来る身の上となったから、ヤ喜んだの喜ばないのと、それはそれは雀躍までして喜んだが、しかし書生と言ッてもこれもまた一苦界。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
政治が、黨派と黨派との爭ひだといふことぐらゐ、何ぼわしかて知らんかつたわけではないが、わしは何ものにも掣肘されたくなかつたし、それに社會の大多數の常識の上に立つてゐる自分は、たとへ一人でも事を行へぬ筈はないと考へてゐた。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
理由の第二は、今の多事の時に方って、二、三の有力者に託するに藩の大事を以てし、これに掣肘を加うることなく、当主を輔佐して臨機の処置に出でしむるを有利とするからである。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
斎の学を好むのに掣肘を加へはしなかつたであらう。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
今から溯って考えて見れば、ゆうべは頭が鈍くなっていたので、左顧右眄することが少く、種々な思慮に掣肘せられずに、却って早くあんな決心に到着したかとも推せられるのである。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
一国の一時代の風尚に肘を掣せられていては、学問は死ぬる。
— 森鴎外 『沈黙の塔』 青空文庫