青蘆
せいろ
名詞
標準
文例 · 用例
男は青蘆をいつぽん薙ぎ倒した。
— 太宰治 『陰火』 青空文庫
蒼空は培養硝子を上から冠せたように張り切ったまま、温気を籠らせ、界隈一面の青蘆の洲はところどころ弱々しく戦いている。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
野を歩いてゐたら、青蘆のそよいでゐるのに心をひかれた、こんなにいゝものがあるのに、何故、旅館とか料理屋とかは下らない生花に気をとられてゐるのだらう、もつたいない、明早朝さつそく私はそれを活けやう。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
……野を歩いて青蘆を切つて来て活けた、何といふすが/\しさ、みづ/\しさぞ、野の草はみんなうつくしい、生きてゐるから。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
ふたゝびこゝで白髪を剃る どうでもこゝにおちつきたい夕月・朝風の青蘆を切る □・これだけ残つてゐるお位牌ををがむ □・あるだけの酒のんで寝る月夜・吠えてきて尾をふる犬とあるく・まとも一つの灯はお寺昨夜は幾夜ぶりかでぐつすり眠つたが、今夜はまた眠れないらしい、ゼイタク野郎め!
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
そして自分でさらに『青山白雲』とか『青蘆集』とかを求めて、同じように熱心に読んだ。
— 三木清 『読書遍歴』 青空文庫
十六夜清心が身をなげた時にも、源之丞が鳥追姿のおこよを見そめた時にも、あるいはまた、鋳掛屋松五郎が蝙蝠の飛びかう夏の夕ぐれに、天秤をにないながら両国の橋を通った時にも、大川は今のごとく、船宿の桟橋に、岸の青蘆に、猪牙船の船腹にものういささやきをくり返していたのである。
— 芥川龍之介 『大川の水』 青空文庫
私はふと小松島附近の青蘆が見たくなったので「家につくまでに暮れるでしょうか」と訊くと良さんは「暮れませんよ」と云う、で、早速俥は引き返された。
— 富田木歩 『小さな旅』 青空文庫