藤布
ふじぬの
名詞
標準
cloth made from wisteria vine fibres
文例 · 用例
その二三の例を挙げるならば、同じ駿河国の志太郡東川根村大字梅地あたりでは、藤布を織って木綿古着の上に着るということが、『駿河|志料』にも見えている。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
その外|安倍川や藁科川の上流の村々では、一般にこの藤布が用いられていた。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
また『伯耆志』には西伯郡|東長田村その他の山村の産物に、藤布というのを掲げている。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
文化四年に成った『北遊記』には、今の福島県の平と湯本との中間でも、藤布を織って産業にしている者がいたとある。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
昔の藤布の中には紫の藤でなく、たとえば貴人の喪服にも用いられたという藤衣などは、或いはまた別種の葛の繊維をもって織ったものだったかも知れない。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
『北越雑記』を見ると、北蒲原郡の加地庄の辺で藤布というのはすべてクズ、すなわち秋になって深紅の花を開く葛の皮で製したもので、主として袴かみしもなどの用に製して販売していた。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
秋田県などでユブシマすなわち夜衾というものが稀にまだ残っているが、是には表を藤布として、中の綿を麻の屑にしたものがあった。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
ヨブスマというのは、全身を蔽い包むほどの大きな藤布製などの夜具のことで、妖怪のヨブスマもそれから出た名かと思う。
— 柳田国男 『雪国の春』 青空文庫