竿先
さおさき
名詞
標準
文例 · 用例
しばらく彼も我も無念になって竿先を見守ったが、魚の中りはちょっと途断えた。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
と同時に予は少年の竿先に魚の来ったのを認めた。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
が、かえってそれは少年に慰めにはならずに決定的に失望を与えたことになったのを気づいた途端に、予の竿先は強く動いた。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
そうして客は端然として竿先を見ているのです。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
かと見えるやそれがまた再びふわりふわりと左右へ泳いで、ある刹那にはその竿先が八本にも見え、次の刹那にはまた二十本位にも見えて、動いたかと思うと途端にピタリとまた黒目を狙い指しながら、千変万化、実にすばらしい妙技でした。
— 日光に現れた退屈男 『旗本退屈男 第八話』 青空文庫
それを一厘柄と謂はれる透明な細テグスで引き争ふのであるから、切られたり、引こまれたり、竿先を弓なりにして、手許まで引寄せ、玉網を入れて、手に握るまで、その触覚といふものが釣りの神会である。
— 佐藤惣之助 『夏と魚』 青空文庫
こやつ胡乱と引っとらえ、本署へ引致のうえ取り調べしに、この者は赤坂区青山南町に住する無職業鈴木正司という無頼漢にして、欅に攀じ登り、西瓜に火を点じて竿先に縛り、悪戯をなしたるよし白状したれば、説諭のうえ放免さる。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
……言うがにまさる、いやおうなく、なっとくのいくことがある」「へえ」 といって、ひょろ松、餌をつけかえて鈎を沖に投げこみ、腰をひねって竿の先をさむらいもののほうに向け、凝ったようになって向うの竿先をにらみ始める。
— 鎌いたち 『顎十郎捕物帳』 青空文庫