検屍官
けんしかん
名詞
標準
文例 · 用例
けれども、だいたい検屍官なんてものが、秘密の不思議な魅力に、感受性を欠いているからなんだよ」 その時、この殺気に充ちた陰気な室の空気を揺ぶって、古風な経文歌を奏でる、侘しい鐘鳴器の音が響いてきた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
それが、法水のほか、四、五人の検屍官一行だったのである。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
そこで検屍官は、小六の屍体に自然死を推定した。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
もっとも、衝立の蔭で、観客に見えない場所で死んだのですから、疑惑と云えば、その点が多少どうかとも思われますがね」 法水は、検屍官の言を聴くともなく、傍らにあった、お岩の半面|仮髪を弄っていた。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
法水は、その仮髪を置くと、はじめて思い出したように検屍官を見て、「なるほど、衝撃死ですか。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
そしてその事の正しさは、間もなく検屍官の手に依って娘の懐中から発見された、意外にも「葬式機関車」の「オサ泉」宛の遺書に依って、いよいよ明かにされたんです。
— 大阪圭吉 『とむらい機関車』 青空文庫
取外された屍体は、直ぐに検屍官の手にうつされたが、しかしこれと云う持物はなにもなく、安吉がどこをどんなにして歩き廻っていたか、恐ろしい秘密を物語るような手掛は、一つも残っていなかった。
— 大阪圭吉 『動かぬ鯨群』 青空文庫
突然死んだドラの唯一人の仲よしであったベンジャミンは、翌日、夕刊に、ドラを視た検屍官の逮捕状で一人の男が検挙されたのを読むと一寸出て来ると云ったぎり、もう再び生きた姿を両親に見せませんでした。
— 宮本百合子 『「母の膝の上に」(紹介並短評)』 青空文庫