速い
はやい
形容詞
標準
文例 · 用例
昔ながらに變らぬものは、廣瀬川の白い流れと、利根川の速い川瀬と、昔、國定忠治が立て籠つた、赤城山とがあるばかりだ。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
今日ある如き所謂自由詩は詩としての第一条件を欠いている駄文学で、時の速い流れと共に、完全に抹殺さるべきものであると。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
私が薬師岳で観察した所に依ると、凡べてのカアル皆然りとは言われないが、カアルの初期は、雪が横一文字に堆くなっているに過ぎないが、その両端の垂下力が遅く、中央が速いためか、第二期には三日月形に歪み、更に拡大して勾玉形になって来ている。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
余んまり速いぞう、お父さんは附いて歩けないぞ」 道は林の坂道にかかつてゐた。
— 葉山嘉樹 『氷雨』 青空文庫
私は確に「何か」考えてはいたらしいが、その考の題目となっていたものは、よし、その時私がハッと気がついて「俺はたった今まで、一体何を考えていたんだ」と考えて見ても、もう思い出せなかった程の、つまりは飛行中のプロペラのような「速い思い」だったのだろう。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫
なぜかならいくら風のように速い深谷であっても、神通力を持っていないかぎり、そんなに早くグラウンドを通り抜け得るはずがなかったから。
— 葉山嘉樹 『死屍を食う男』 青空文庫
今、それほど万寿丸を驚かした、軍艦のように速力の速い怪物は、百年一日のごとく動かない大黒島であり、大砲は霧信号であった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
従って、「速度のはやい」なども実感を強めるための俗語として「速度の大なるすなわち運動の速い」の略語として通用を許してもそれがために物理学は何の損害をも受ける心配はないかと思われる。
— 寺田寅彦 『随筆難』 青空文庫