影の薄い
かげのうすい
表現形容詞
標準
inconspicuous
文例 · 用例
一つの乳牛に消化不良なのがあって、今井獣医の来たのは井戸ばたに夕日の影の薄いころであった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
切り離すと、もうそれは自分の活きた経験でなくなって、まるで影の薄い抽象的な「誰でも」の知識になってしまう。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
薄気味の悪い「ひげ」が黄鼠のような目を輝らせて杉の杜の陰からにらんだところを今少し詳しく言えば、 豊吉は善人である、また才もある、しかし根がない、いや根も随分あるが、どこかに影の薄いような気味があって、そのすることが物の急所にあたらない。
— 国木田独歩 『河霧』 青空文庫
手術後目立っておとなしく上品にはなったが、なんとなく影の薄い存在となったようである。
— 寺田寅彦 『備忘録』 青空文庫
その意味からは橘屋の娘の恋愛関係も浅くおろかなものとも思えないようになって来て影の薄い女だけに、いじらしさも、また増して来る。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
とどの顔も白茶けた、影の薄い、衣服前垂の汚目ばかり火影に目立って、煤びた羅漢の、トボンとした、寂しい、濁った形が溝端にばらばらと残る。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
伝三郎の妻は痩形でどこか影の薄い感じのする顔立ちだが、どちらかといえば陽気好きである。
— 織田作之助 『俗臭』 青空文庫
特に上古から文芸復興期にかけ、全盛の栄華を尽した叙事詩は、十八世紀末葉以来|漸く人々に疎外され、最近に至って全く影の薄いものになってしまった。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
作例 · 標準
「会議の記録を読み返したら、A君も出席してたんだね。影の薄い人だから忘れてたよ」
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グループの中で一番影の薄い存在だった彼が、まさか一番早く出世するとは。
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彼は目立つことを嫌い、あえて影の薄い脇役に徹することで自由を確保していた。
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