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野心作

やしんさく
名詞
1
標準
文例 · 用例
一時長篇が流行しはじめて、忽ちある方向へ流されて行ってしまって今日に及んでいるので、本年は、純文学の甦生は第二義的野心作を並べる長篇よりも、寧ろ地味にフリーランサーとして書かれる短篇のうちにその可能がふくまれていると考えられて来ているらしい様子です。
一九三九年(昭和十四年) 獄中への手紙 青空文庫
「棉花記」は、正面から時局的問題を取扱つた野心作で、十分読みごたへはあつたが、未完結のため、全体としての点数はまだ入れられない。
岸田國士 芥川賞(第十八回)選評 青空文庫
例へば、阪中正夫が「馬」一作によつて近代ファルスの形式をみごとに征服し、久板栄二郎が「北東の風」を提げて堅実な努力を社会劇の構成に示し、川口一郎が「二十六番館」に於て堂々たるレアリズムのスタイルを完成し、久保栄が「火山灰地」でいはゆる思想性をもつ野心作と取り組んだ。
岸田國士 新劇の黎明 青空文庫
ただ、「春の草」は足取りはなかなか確かだが、やや先人の道を歩いてゐるやうな気がしたし、「壁」は、注目すべき野心作にはちがひないが、もうちよつと彫琢されてあることが望ましいものであつた。
――芥川賞(第二十五回)選後評―― 選後に 青空文庫
そのため折角の野心作が、何か人工流産みたいなことになつてしまつたことは惜しい。
ナルシシスムの運命 三島由紀夫 青空文庫
「もはや一流人である同君がこうした野心作品を示し、しかも相当の効果をあげたことに脱帽したい」 私自身も、同じ頃あるところへこう書いた。
正岡容 随筆 寄席囃子 青空文庫
ゲーテのファウストに感動して、ファウストとグレートヘンとメフィストフェレスの性格を描き、ゲーテの哲学と人生観とを、音楽を通して表現せんとした野心作である。
野村胡堂 楽聖物語 青空文庫
「牧神の午後の前奏曲」はマラルメの詩によった音楽で、ドビュッシー初期の野心作でもあり、不思議な空気と光を描いた音楽だ。
野村胡堂 楽聖物語 青空文庫