無底
むてい
名詞
標準
文例 · 用例
今人の智の及ぶ限にては、無底無邊無究無限の絶對なり。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
我々が深く自己の意識の奥底を反省してみる時はかつてヤコブ・ベーメが、神は「物なき静さ」であるとか、「無底」 Ungrund であるとかまたは「対象なき意志」 Wille ohne Gegenstand であるとかいった語に深き意味を見出すこともでき、また一種崇高にして不可思議の感に打たれるのである。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
そして、更に「大千沙界一筒自由身」になり「無底併呑尽十方」になれば申し分がないのであろう。
— 辻潤 『浮浪漫語』 青空文庫
この寺の開祖は無底和尚というて前記東禅寺の無尽とは兄弟弟子であったという。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
余談だらけで気咎めがされてならぬが、すこしその話をすると、下野国河内郡今泉の興福寺の開祖真空妙応禅師という偉い和尚に、無尽、無底、無意という三人の高弟があった。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
ある日師匠は無尽、無底の両人を呼び寄せて、手に持てる白旗を東方に向かって投げ飛ばしては、無尽に、かの旗の行くえを捜し求めて弘法せよと言い、また同じく黒石を空に投げて、無底にはその石を尋ねて落ちある所に一寺を建立して、諸民を教化せよといわれた。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
それから無底のほうは、やはりその黒石を尋ねて諸国を回っているうちに、前記の江刺郡の山内という所までくるとその石があった。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
前なる目に見えぬ無底の淵を覗く姿勢。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫