富士形
ふじがた
名詞
標準
文例 · 用例
おゆうは、浮気ものだということを、お島は姉から聞いていたが、逢ってみると、芸事の稽古などをした故か、嫻かな落着いた女で、生際の富士形になった額が狭く、切の長い目が細くて、口もやや大きい方であったが、薄皮出の細やかな膚の、くっきりした色白で、小作な体の様子がいかにも好いと思った。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
そこには小さな玩具のような三寸位の富士形をした微白い物があった。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
肩から引っかけた丹前の裾の、富士形になだれたのどかな様子が今の彼には似合っている。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
桜島のように全島が富士形の火山だ。
— 横光利一 『欧洲紀行』 青空文庫
天城の傾斜中に、富士形に突起するもの二つあり。
— 大町桂月 『沖の小島』 青空文庫
岬の端に半分海の中へ入つて聳えて居る富士形の山は村から三里程奥の××山だ。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫
額は狭く富士形である。
— 国枝史郎 『南蛮秘話森右近丸』 青空文庫
富士形をした如法寺山の、斧鉞を知らぬ蓊鬱な松林を中心にして、諸山諸水の配置は、正に米点の山水である。
— 河東碧梧桐 『南予枇杷行』 青空文庫