来決
らいけつ
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、そういうふうにして、元来決して軽く見るべきはずでない、あらゆる意味で重大な多くの事がらを、朝夕に軽々しく見すごすような習慣を養うという事自身に現代の思想上の欠陥の一つの大きな原因があるのではあるまいか。
— 寺田寅彦 『一つの思考実験』 青空文庫
主人は両三年前までは座敷はどこへ坐っても構わんものと心得ていたのだが、その後ある人から床の間の講釈を聞いて、あれは上段の間の変化したもので、上使が坐わる所だと悟って以来決して床の間へは寄りつかない男である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
ゲエテー少壮なるに当ツて一二の悲哀戯曲を作るや、迷夢弱病の感情を元とし、劇烈|欝勃の行為を描き、其主人公は概ね薄志弱行なりし故に、メルクは彼を誡めて曰く、此の如き精気なく誠心なき汚穢なる愚物は将来決ツして写す勿れ、此の如きことは何人と雖も為し能ふなりと。
— 石橋忍月 『舞姫』 青空文庫
日本の民主主義の文学、民主的な文学の伝統は明治以来決してなかったわけではありません。
— 宮本百合子 『婦人の創造力』 青空文庫
私は本来決して便宜的な人間ではない。
— 一九三八年(昭和十三年) 『獄中への手紙』 青空文庫
しかし、これは一方では私の精神に異状がないと云う事を証明すると同時に、また一方ではこう云う事実も古来決して絶無ではなかったと云う事をお耳に入れるために、幾分の必要がありはしないかと、思われるのでございます。
— 芥川龍之介 『二つの手紙』 青空文庫
というよりも、こうした実戦が、将来決してあってはならないこと、またあらしめてはならないことを痛感したであろう。
— 桐生悠々 『関東防空大演習を嗤う』 青空文庫
ぐずぐずしていると、本当に足骨を打ち折られそうでありますが、しかし私はこの父の厳しい譴責によって、つくづく自分の非を悟りましたので、散々その場で父に謝罪を致し、以来決して不心得を致しませんによって、今度だけはお許しを願いますと、涙を流して申しました。
— 一度家に帰り父に誡められたはなし 『幕末維新懐古談』 青空文庫