立ち迷う
たちまよう
動詞-五段-ウ行動詞-自動詞
標準
to drift along
文例 · 用例
深夜の十字街頭に音もなく立ち迷うて、何かの亡霊に取り憑かれたかのように、くるくるくると闇黒の中に渦巻き込む塵の幾群れが見える。
— 夢野久作 『塵』 青空文庫
青年はしばし四辺を見渡して停止みつおりおり野路を過る人影いつしか霧深き林の奥に消えゆくなどみつめたる、もしなみなみの人ならば鬱陶しとのみ思わんも、かれは然らず、かれが今の心のさまとこの朝の景色とは似通う節あり、霧立ち迷うておぼろにかすむ森のさまは哀れに物悲し、これ恋なり。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
朽ち葉のくさみを持った煙はいよいよ立ち迷うのである。
— 伊藤左千夫 『告げ人』 青空文庫
「眇目の異国人が都の中にさまよう由はかねて聞き及んで居りましたが、館の御門前に立ち迷うて先刻より内を窺うは重々の不審と存じて、ともかくも取り押さえて吟味いたせど、あらぬことのみ口走りてちっとも埓あかず。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
今はただ木村という邪魔な考えが、もやもやと胸の中に立ち迷うばかりで、その奥には事務長の打ち勝ちがたい暗い力が、魔王のように小動ぎもせずうずくまっているのみだった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
窓硝子を洩れる真昼の冬の日に照らされて、陽炎のように立ち迷う湯気のなかに、黄いろい木実の強い匂いが籠っているのも快かった。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
それを見なれているここらの人達が、清水山付近に立ち迷う怪しい女のかげを、おそらく例の夜鷹であろうと判断するのも無理はなかった。
— 柳原堤の女 『半七捕物帳』 青空文庫
万物はかたずのみて闇に立ち迷う奇蹟をながめ故知らぬ暗示に胸をとどろかす偉なるかな!
— 宮本百合子 『夜』 青空文庫
作例 · 標準
深い霧が立ち迷う山道で、私たちは完全に方向感覚を失ってしまった。
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都会の雑踏の中で、進むべき道が見つからず立ち迷う若者の姿があった。
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湖面には朝靄が立ち迷い、幻想的な風景が広がっていた。
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