悔
かい
名詞
標準
文例 · 用例
天性陰気なこの人は、人の目にたつほど、愚痴も悔やみもいわなかったものの、内心にはじつに長いあいだの、苦悶と悔恨とをつづけてきたのである。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
ものに屈託するなどいうことはとんと知らなかった糟谷も、にわかに悔恨の念禁じがたく、しばしば寝られない夜もあった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
糟谷はまた自分の結婚するについてもその当時あまりに思慮のなかったことをいまさらのごとく悔いた。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
糟谷はつくづくと、自分が過渡期の中間に入用な材となって、仮小屋的任務にあたったことを悔やんだ。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
既に書いてしまったものを今更悔いても仕方がないが、一度慚愧の念に襲われては、何事にも無頓着なる予と雖も、さすがに躊躇するのである。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
自分もいまさらのごとくわが不注意であったことが悔いられる。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
平生愛想笑いをする癖が、悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
今の自分はただただ自分を悔い、自分を痛め、自分を損じ苦しめるのが、いくらか自分を慰めるのである。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫