痛事
いたごと
名詞
標準
文例 · 用例
中にも落第の投機家なぞは、どぶつで汗ッかき、おまけに脚気を煩っていたんだから、このしみばかりでも痛事ですね。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
文壇に晦かった坂本が、さして秘事とも思わず取扱った材料は、麻川氏にとっての痛事だったとあとで坂本に云う人がかなりあった。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
彼女の方でわたしの家へ来ることは、あまりなかったが、それはわたしにとって痛事ではなかった。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
この前後数年の間に翁は二つの大きな悲痛事に遭遇したわけである。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
それじゃア敵をふやすようなもので、こけ猿の茶壺を種に、司馬の道場へ加勢するか、あの伊賀の連中へ与するか、どっちにしろ、ここでぼろい儲けをしようとたくらんでいる与の公にとっては、大痛事。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
「親分はあの清水屋の若主人の大痛事を御存じですかえ?
— 怪談抜地獄 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
「久兵衛さん、お前は心掛けがよくねえから、このくれえの痛事はけえって気つけかもしれねえが、当方あその贋元にちょっと心当りがあろうというもの――。
— お茶漬音頭 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
これは実際彼にとっては、予期以上の痛事であった。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫