谷筋
たにすじ
名詞
標準
channel (of a stream, valley, etc.)
文例 · 用例
此の山里を、汽車の中で、殆ど鳥の聲を聞かなかつた彼は、何故か、谷筋にあらゆる小禽の類が、此の巨な手の獵人のために狩盡されるやうな思ひして、何となく悚然とした。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫
雨がどんどん降って谷筋の中ほどでは小川が土手を越えているではありませんか。
— A. ビアス A.Bierce 『羊飼いハイタ』 青空文庫
谷筋には相当明るい猟師であっても、山の上は全く知らないのであるから、初登山も同様で甚だ頼りがない、唯二年前に兎も角も友の一行が通過しているということが一の心強さであった。
— 木暮理太郎 『鹿の印象』 青空文庫
飛竜山や雲取山も亦信仰的登山者のあることを登山の際に初めて知ったが、其他の山殊に谷筋は、人跡極めて稀であり、山行の度毎に未知の山や谷を発見して、新しい収穫の多いのを喜んだのであった。
— 木暮理太郎 『初めて秩父に入った頃』 青空文庫
ナウマン氏が赤石に登ったのは十六年で、翌年中島謙造氏は横山氏等と同時に出発して赤石に登り、大井川に下って谷筋を千頭に出で、千頭から更に遠山に踰えたのであった。
— 木暮理太郎 『山の今昔』 青空文庫
こうして一挙に多くの山が登られたので、南北アルプスの目ぼしい山という山は忽ち登り尽され、興味の中心は谷筋やアルプス以外の山に移って、登山の範囲は黒部、双六、秩父、奥上州、奥羽、北海道に拡大し、遂には台湾朝鮮にまで及んだのである。
— 木暮理太郎 『山の今昔』 青空文庫
谷筋を罩めていた霧が薄らいで、其中から翠の濃い山の影がぼうっと行手に滲み出した。
— 木暮理太郎 『黒部川を遡る』 青空文庫
二百丈もある瀑が人も碌に通らない谷筋の奥で、年に幾回となく出現することが嘘のような事実であるのが面白い。
— 木暮理太郎 『黒部川を遡る』 青空文庫