匹夫
ひっぷ
名詞
標準
(humble) man
文例 · 用例
匹夫野人も屑しとしないような醜行陋体を、世間憚らず実現しつつ、詩は神聖恋は神聖を歌って居るところの汚醜劣等の卑人が、趣味がどうの、美がどうのと云うてるのに、社会の一部が耳をかしてるとは、情ないじゃないか。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
(九) パピプペポの音は、奈良朝においては多分正常な音韻としては存在しなかったであろう、しかるに、漢語においては、入声音またはンにつづくハ行音はパピプペポの音であったものと思われる(「一遍」「匹夫」「法被」「近辺」など)。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
こういう大大名のうしろ楯を持っている彼らのかたき討よりも、無名の匹夫匹婦のかたき討には幾層倍の艱難辛苦が伴っていることと察しられるが、舞台の小さいものは伝わらない。
— 岡本綺堂 『かたき討雑感』 青空文庫
けれども私は、よほど頭がわるく、それにまた身のほど知らぬ自惚れもあり、人の制止も聞かばこそ、なに大丈夫、大丈夫だと匹夫の勇、泳げもせぬのに深潭に飛び込み、たちまち、あっぷあっぷ、眼もあてられぬ有様であった。
— 太宰治 『困惑の弁』 青空文庫
世情は常に眼前に着して走り天理は多く背後に見はれ来るものなれば、千鐘の禄も仙化の後には匹夫の情をだに致さする能はず、狗馬たちまちに恩を忘るゝとも固より憎むに足らず、三春の花も凋落の夕には芬芳の香り早く失せて、たる大日輪は螻蟻の穴にも光を惜まず、美女の面にも熱を減ぜず、茫たり、何とりいでゝ歎き喞たむ。
— 幸田露伴 『二日物語』 青空文庫
秀吉曰く、「我匹夫より起りて、天下に主たると、三楽が智ありて一国をも保つ能わざるとこれ二つの不思議なり」と。
— 菊池寛 『川中島合戦』 青空文庫
宗全は更に、自分如き匹夫が、貴方の所へ来て、斯うして話しをすると云うことは、例のないことであるが、今日ではそれが出来るではないか。
— 菊池寛 『応仁の乱』 青空文庫
匹夫匹婦もその所を得ざれば、夏に霜を降らすこともあり、大いに旱することもござります。
— 酉陽雑爼(唐) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
作例 · 標準
あの匹夫が、まさかこんな大役を任されるとは驚きだ。
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匹夫の分際で、偉そうにものを言うなと叱られた。
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「まったく、あの匹夫は何もわかっちゃいない!」と彼は吐き捨てた。
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