粟粥
あわがゆ
名詞
標準
文例 · 用例
黍粉のお焼きや、粟粥の本場だ。
— 佐藤垢石 『食べもの』 青空文庫
……わしらはその二人に寺を奪われて、やっと粟粥をすすって生きているばかりなのじゃ」「ふウむ。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
その代りあっちで粟粥を一杯ご馳走になるぜ」 庫裡へ廻ってみると、まるで隠亡窯みたいな赤い火を薄暗い中に囲んで、ここにも骸骨みたいな痩せ法師が、がつがつ粥を喰べあっているところだった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
落したかと慌てたが、よくよく考えてみると、さっきの庫裡で、粟粥をふうふう吹いて食ううちに、粥をこぼしたので、脱いでおいた覚えがある。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
いやこうなると、自分に顔というものがあることすら忘れとる」「私は、胃袋のあるのも忘れとります」「ははは、近頃はほとんど、金の粥(粟粥のこと)も、銀の粥(米の粥)も入らんからのう。
— 谷干城夫人 『日本名婦伝』 青空文庫
十五 粟粥を金の粥、玄米粥を銀の粥などと洒落ていたのは、もう二十日も前の夢で、焼け跡の味噌や沢庵漬も掘りつくし、馬糧の燕麦も喰べてしまい、およそ喰えそうなものは、土をふるい、木の皮を剥がしてまで胃に入れてしまった。
— 谷干城夫人 『日本名婦伝』 青空文庫
米は彼が飢え死しかけていた数日、おも湯や粥にして喰べさせてもらっただけだし、回復してからあとは、いつも粟粥かもろこし餅であり、こんど出立するときにも、竹中啓吉が持たせてくれたのは、同じ物であった。
— 山本周五郎 『おごそかな渇き』 青空文庫