歯型
はがた
名詞
標準
文例 · 用例
こらッ、歯型も入れたな」 そう怒りながら、しかしだらしない声を出して少しはやに下り気味の自分が、つくづく情けなくなっていると、マダムは気取った声で、「抓りゃ紫、食いつきゃ紅よ、色で仕上げた……」云々と都々逸であった。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
「啖付いても大事ないかえ」「歯が立ったなら鰻を今一パイ喰わせる……アイタタタ……待て……待てチウタラ……」 廊下を通りかかった女中が吃驚したらしく襖を開けたが、木乃伊親爺の二の腕に付いてる濡れた歯型を見ると、呆気に取られたまま突立っていた。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
しかも、それは極めて強健なる少年の歯型なる事が、専門家の意見により確定したので、又も新しいセンセーションを巻起すこととなった。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
藪根の草葉の中から、歯型をつけられたまゝ棄てられてゐる青柿に眼があつて、憾みをのんで凝つと此方を睨めてゐた。
— 牧野信一 『蔭ひなた』 青空文庫
一層好くあらためて見ると、その傷はたしかに人間の歯型の痕だつた。
— 牧野信一 『蔭ひなた』 青空文庫
何しろ全部が全部、絹糸を使って、縫目を細かく二重にして縫ってから、ペトローヴィッチは縫目という縫目に自分の口でさまざまの歯型を刻みつけながら、緊め固めたほどであるから。
— ニコライ・ゴーゴリ 『外套』 青空文庫
だから五体には化物の歯型一つ痕らなかつた。
— 牧野信一 『南風譜』 青空文庫
ここのところに歯型がついている。
— 海野十三 『地底戦車の怪人』 青空文庫