輦
れん
名詞
標準
文例 · 用例
款段 久しく 忘る 飛鳳の輦、袈裟 新に換る ※龍の袍。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
更衣が宮中から輦車で出てよい御許可の宣旨を役人へお下しになったりあそばされても、また病室へお帰りになると今行くということをお許しにならない。
— 桐壺 『源氏物語』 青空文庫
「また別の日に伺候いたしまして」 還幸の鳳輦をはなやかに百官の囲繞して行く光景が、物の響きに想像される時にも、太后は過去の御自身の態度の非を悔いておいでになった。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
きれいな身なりをして化粧をした朝臣たちをたくさん見たが、緋のお上着を召した端麗な鳳輦の中の御姿になぞらえることのできるような人はだれもない。
— 行幸 『源氏物語』 青空文庫
大原野で鳳輦が停められ、高官たちは天幕の中で食事をしたり、正装を直衣や狩衣に改めたりしているころに、六条院の大臣から酒や菓子の献上品が届いた。
— 行幸 『源氏物語』 青空文庫
輦車が寄せられて、内大臣家、大将家のために尚侍の退出に従って行こうとする人たちが、出立ちを待ち遠しがり、大将自身もむつかしい顔をしながら、人々へ指図をするふうにしてその辺を歩きまわるまで帝は尚侍の曹司をお離れになることができなかった。
— 真木柱 『源氏物語』 青空文庫
紫夫人には輦車も許されるであろうが、自身には御所のある場所を歩いて行かねばならない不体裁のあることなども、明石は自身のために歎かずに源氏夫婦が磨きたてて太子に奉る姫君に、自分という生母のあることが玉の瑕と見られるに違いないと心苦しがっていた。
— 藤のうら葉 『源氏物語』 青空文庫
李陵は全員を点呼して、被害状況を調べたのち、傷の一か所にすぎぬ者には平生どおり兵器を執って闘わしめ、両創を蒙る者にもなお兵車を助け推さしめ、三創にしてはじめて輦に乗せて扶け運ぶことに決めた。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫