悄
悄
名詞
標準
文例 · 用例
二人が少しも隔意なき得心上の相談であったのだけれど、僕の方から言い出したばかりに、民子は妙に鬱ぎ込んで、まるで元気がなくなり、悄然としているのである。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
物も言い得ないで、しょんぼりと悄れていた不憫な民さんの俤、どうして忘れることが出来よう。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
相手は何處迄も御人好の御坊ちやまの、泣き出し相に、なさけない顏でおろおろして居るまだるつこさ、芳公の啖呵も折角、響が來ないので、聊か之も張合なさの悄氣た體。
— 萩原朔太郎 『二十三夜』 青空文庫
駄目です』などと夫人にからかわれ、『あ、どうしよう、私この鼻』など言って悄気返り、『真ッぴら、真ッぴら』と、今おぼえたばかりの日本語を面白がって使ったりして、夫人や女中たちを大笑いさせたりしているのだが、その後で、『しかし、よく思うて下さい。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
ふり返つて背後をみると、彼は悄然と坂の上に一人で立つてゐる。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
黒く悄然と、さびしさうな影をひいて。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
」 黒く悄然としてゐる友の背後姿をみてゐる中に、何とも言へないいぢらしさが、湧然として私の胸にわきあがつてきた。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
あの西行のやうな牧水氏が、遠いところから訪ねて來て追ひ歸され、孤影悄然として門を出て行く姿を考へ、名状できない寂しさと、氣のすまない思ひで一杯になつた。
— 萩原朔太郎 『追憶』 青空文庫