自明の理
じめいのり
表現名詞
標準
self-evident truth
文例 · 用例
さう云ふ風な考へ事に没頭してゐれば、具体的な、現実的な生活からも、生活手段からも離れて行くことは自明の理であつた。
— 葉山嘉樹 『氷雨』 青空文庫
が、どう眞似ても、それが藝術的價値を持ち得ないのは自明の理であるのに、その二者の表現し得る内容に一脈相通ずるものがあるために、いや、殆ど兄弟に似たものがあるために、多くの寫眞家達はその製作に盛に誘惑され、その作品を藝術がつて得意としてゐる。
— 南部修太郎 『文藝作品の映畫化』 青空文庫
筆を進めて其謬見の謬見たる所以を精窮するは評家の義務かも知れず候へど、自明の理を管々しく申上ぐるも児戯に等しかるべく候に付、差控へ申候。
— 石川啄木 『渋民村より』 青空文庫
もとよりこのことは、説明を要しない自明の理であるにもかかわらず、われわれはこの自明の理にたいして、平素あまりにも無関心でいるのである。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫
いわんや、他の科学においてをや、ナンテ申しますと、天下の科学者から、エライお小言を頂戴することになるかも知れませんが、とにかくわかったもの、「自明の理」と思っていることでも、いざ説明、となると容易に説明し得ないのであります。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫
教養のない者の破廉恥は、教養ある人格者の同様の行為よりは道徳的責任が軽いのは自明の理論でございます。
— 宮本百合子 『C先生への手紙』 青空文庫
ぼく自身が矛盾、前後撞着、相反感情をバラバラに抱き得る、例の生者には不可解な分裂症患者に似た者のひとりの実感は自明の理、殊更、特筆大書する必要はなかったのである。
— 田中英光 『さようなら』 青空文庫
いずれにしても斯の如く観察し来る時は、この屍体飜弄なる夢遊状態の存在は疑う余地なきところにして、特に通夜の習慣及び火葬の流行以前には、屍体の側近者によりてかなり多数にこの種の夢遊状態が実現されおりし事は自明の理なるべし。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫