沍
沍
名詞
標準
文例 · 用例
沍たつ泥をほとほとと、 かまちにけりて支店長、玻璃戸の冬を入り来る。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
アア偶々咲懸ッた恋の蕾も、事情というおもわぬ沍にかじけて、可笑しく葛藤れた縁の糸のすじりもじった間柄、海へも附かず河へも附かぬ中ぶらりん、月下翁の悪戯か、それにしても余程風変りな恋の初峯入り。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
免職が種の悶着はここに至ッて、沍ててかじけて凝結し出した。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
窪地にスケート・リンクなどがあるくらゐだから沍寒はきびしいのであらう。
— 北原白秋 『日本ライン』 青空文庫
窪地にスケート・リンクなどがあるくらいだから沍寒はきびしいのであろう。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
微曇りし空はこれが為に眠を覚されたる気色にて、銀梨子地の如く無数の星を顕して、鋭く沍えたる光は寒気を発つかと想はしむるまでに、その薄明に曝さるる夜の街は殆ど氷らんとすなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
ああ狂……私のようなものが世の中に居るのは間違なんで御座いましょう……」 深く沍々とした彼女の黒瞳は自然と出て来る涙の為に輝いた。
— 島崎藤村 『家(上巻)』 青空文庫
沍て泣き喚く様な吹雪の夜の事だ。
— 大阪圭吉 『気狂い機関車』 青空文庫