寄々
寄々
名詞
標準
文例 · 用例
都から連歌師が下って来ると、最寄々々の城から招いて連歌一座所望したいとか、発句一首ぜひとか、而もそれがあす合戦に出かける前日に城内から所望されたなどという連歌師の書いた旅行記がありますよ。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
一旦夫人の情に因って、八方へ遁れた、万綱の配下の兇賊、かねて目指された数をあまさず、府、県、町、村、いうに及ばず、津々浦々にいたるまで、最寄々々に名告って出た。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
これは決して法外に安い給料とは思わなかったが最近、彼女の功績を大いに認めなければならぬ状態を認めて、姉や妻と寄々相談をしていた次第であったが、折も折、ちょうどそのさ中に、実に奇妙とも不思議とも、たとえようのない事件が彼女を中心にして渦巻き起って、遂に今度のような物凄い破局に陥ったのであった。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
」 皆は寄々その事を話して気遣つたものだ。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
お君が首になったというので、メリヤス工場の若い職工たちは寄々協議をしていた。
— 小林多喜二 『父帰る』 青空文庫
といふことに就いて寄々会議を凝した挙句、隣り村の一軒の酒造家の主が岡の前年度の制作である「木兎」を望んでゐるらしい口吻である故、是を一番弁舌を以つて籠絡して来よう――と鶴井が勇敢な役廻りを買つて出た。
— 牧野信一 『心象風景』 青空文庫
それから彼等は寄々相謀つた揚句、合鍵を鋳造することに決したが、何しろ二百年も前から伝はる錠前なので到底今日のものでは役に立たぬことが解つて改めて、入念の家探しに没頭してゐる時だつた。
— 牧野信一 『南風譜』 青空文庫
それから、もう一つは、運河が出来れば、当然、淀川本流の水が減退する、そうなった日には、あの沿岸で生活している農民にとっては生命線の大問題である、というところから、寄々の農民の間に反対運動が起った。
— 農奴の巻 『大菩薩峠』 青空文庫