棄石
棄石
名詞
標準
文例 · 用例
「三島へ遁げるのもありますし、峠を越して函嶺へ行ったのもございますし、湯河原を出て吉浜、もうその時分は、お関所|辺で、ゆっくり紙幣を勘定しているものもあろうし、峠の棄石へ腰をかけて、盗んだ時計で、時間を見ているのもあるだろうッて、浪の音の合間々々に、皆が話していたんです。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
棄石のつもりでかかればいい。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
蹲躅が棄石の蔭な□に咲きのこつてゐた。
— 徳田秋聲 『草いきれ』 青空文庫
庭の棄石を踏む童のやうに彼は、岩を飛び、影を踏んで、流れを溯つた。
— 牧野信一 『山を越えて』 青空文庫
脈絡のない人物や事件を持ち来つて棄石のやうに置きすてて行く、さういふことも意識的に分裂的配分を行ふ際に必要な方法であらうし、探したならば、そのための色々都合のいい、効果的な、面白い手法を見付けだすこともできると思ふ。
— 坂口安吾 『文章の一形式』 青空文庫
脈絡のない人物や事件を持ち来って棄石のように置きすてて行く、そういうことも意識的に分裂的配分を行う際に必要な方法であろうし、探したならば、そのための色々都合のいい、効果的な、面白い手法を見付けだすこともできると思う。
— 坂口安吾 『文章の一形式』 青空文庫
しかしつくばいとのつなぎのために砥草のわきに棄石がなければならぬ。
— 室生犀星 『庭をつくる人』 青空文庫
わたくしはある朝、蒼黒い棄石のきわに一本の蕗の薹を眺め、凝然と驚いて瞠って眺めた。
— 室生犀星 『庭をつくる人』 青空文庫