折よく
おりよく
副詞
標準
fortunately
文例 · 用例
ちやうど折よく私が來合せたから、よかつたやうなものの、さうでもなかつたら、あなたはもう命を落すやうな事になつたかも知れないのです。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
この時しも得三|等が、お藤を責めて婚姻を迫る折なりしかば、いかにせば救い得られんかと、思い悩みいたるうち、火取虫に洋燈消えて、こよなき機会を得たるにぞ、怪しき声音に驚かせしに、折よく外にも人ありて妹を抱きて遁出でたれば、嬉しやお藤は助かりぬ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
」「これはね、駿河台のそれ猫股婆の車夫なんで、私が折よく乗合わせなかろうもんなら、光子様を手籠にして連れて行く処でごぜえましたぜ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
自分が手籠めになろうとしたのを、折よく来かかって扶けてくれた、旅客に顔を見られたが、直ぐにとこうの口も利かず、鬼に捉られた使の白鳩、さすがに翼を悩めたらしゅう、肩のあたり、胸のあたり、黒髪も打揺らぐは、朝風のさそうにあらず、はずんで呼吸をつくのであった。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
わたしの家の女中のひとりが午後十時ごろに外から帰って来る途中、横町の暗いところで例の痴漢に襲われかかったが、折よく巡査が巡回して来たので救われた。
— 大久保にて 『郊外生活の一年』 青空文庫
帰宅途上、樹明君来庵、折よく御飯が出来たばかりで、しかも君の最大好物雲丹(これも大山さんのお土産の一つ)があつたので、夕飯をあげる、何とそのうまさうなたべぶり!
— 伊佐行乞 『行乞記』 青空文庫
夕立がやつてきた、折よく観音堂で昼寝。
— 仙崎 『行乞記』 青空文庫
そして折よく近くにい合せた小舟に救い上げてもらった…… Aが、宿屋の床の中で、はっきり吾に返った時、枕元について看護していたのは、Bの細君一人だけだった。
— ――夫婦哲学―― 『花嫁の訂正』 青空文庫