潰し
つぶし
名詞
標準
文例 · 用例
これに反して、「いき」と見られた結振りは銀杏髷、楽屋結など略式の髪か、さもなくば島田でも潰し島田、投げ島田など正形の崩れたものであった。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
此の處、年の頃十八九と見える色白の、艶然とした中形單衣、夜目にも透いて見える襟脚の確乎白きに、烏羽玉色の黒髮を潰し島田に結んだ初初しさ、濃紫の帶を太鼓に結んだ端が二寸許り、たれてその先が地に着かんとして觸れ合つて居る。
— 萩原朔太郎 『二十三夜』 青空文庫
そしてそんなことに一向無頓着で俯いてボールで時を潰してゐる耕二が何だか癪に障つた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
小林が彼と肩を並べようとする刹那、彼は押し潰した畳みコップのように、ペシャッとそこへ跼った。
— 葉山嘉樹 『坑夫の子』 青空文庫
何の才能もないし、学問もないし、社会人類、国家に尽す方法も持たないし、詰り人生の食ひ潰しであることを自認したのだつた。
— 葉山嘉樹 『氷雨』 青空文庫
「けさ、とても固いするめを食つたものだから、」わざと押し潰してゐるやうな低いかすれた聲であつた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
そうして、その婦女子のねむけ醒しのために、あの人は目を潰してしまいまして、それでも、口述筆記で続けたってんですから、馬鹿なもんじゃありませんか。
— 太宰治 『小説の面白さ』 青空文庫
しかし噴火口から流れ出した熔岩は、重力という「鬼」の力で押されて山腹を下り、その余力のほんのわずかな剰余で冷却固結した岩塊を揉み砕き、つかみ潰して訳もなくこんなに積み上げたのである。
— 寺田寅彦 『浅間山麓より』 青空文庫