水膨れ
みずぶくれ
名詞
標準
文例 · 用例
……あの上|水膨れちゃ、御当人より傍のものが助からないよ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
あの顔を見ると、どうしたって、そんな不人情な事をしそうには思えないんだが――うつくしい人が不人情で、冬瓜の水膨れのような古賀さんが善良な君子なのだから、油断が出来ない。
— 夏目漱石 『坊っちゃん』 青空文庫
半日水中に浸けてあつたので、顔は水膨れに気味悪くふくれ、眼は凄じく一所を見つめ、鼻洟は半開いた口に垂れ込み、だらりと大いなる睾丸をぶら下げたるその容体、自分は思はず両手に顔を掩つたのであつた。
— 田山花袋 『重右衛門の最後』 青空文庫
もぐさが全部燃えてしまふと、その焼痕は真黒の水膨れになつてぶくぶくしてゐる。
— 北條民雄 『癩院記録』 青空文庫
一日行けば水にありつけると、夢中になって歩きだすが、間もなく、発泡剤のおかげで足のうらに水膨れができ、匍匐するほか進めなくなる。
— 久生十蘭 『新西遊記』 青空文庫
「……神経を思ひ出すとね、それから僕は水膨れのやうな青い血管を思ひ出すのだ。
— 坂口安吾 『竹藪の家』 青空文庫
それが地震に墜落して流れを妨げたがために、そこへ西の方から焼けた船や水膨れのした屍体がおびただしく流れついて、ほとんど水面も見えぬほどだといってもあえて過言ではない。
— 喜田貞吉 『震災日誌』 青空文庫
すなわち、瀉血、水膨れを起こさせる、嘔吐、下剤、アンチモニーや水銀の処方、などの勇ましい療法であった。
— A Concise History of Medicine 『簡約医学史』 青空文庫