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掻取

かいどり
名詞
1
標準
文例 · 用例
これを聞いて、屈んで、板へ敷く半纏の裙を掻取り、膝に挟んだ下交の褄を内端に、障子腰から肩を乗出すようにして、つい目の前の、下水の溜りに目を着けた。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
)と莞爾々々笑って、澄まして袷を掻取って、襟を合わせて、ト背向きに頸を捻じて、衣紋つきを映した時、早瀬が縁のその棚から、ブラッシを取って、ごしごし痒そうに天窓を引掻いていたのを見ると、「そんな邪険な撫着けようがあるもんですか、私が分けて上げますからお待ちなさい。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
含羞む瞼を染めて、玉の項を差俯向く、ト見ると、雛鶴一羽、松の羽衣|掻取って、曙の雲の上なる、宴に召さるる風情がある。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
)といふ時忽ち犯すべからざる者になつたから、私は口をつぐむと、婦人は、匙を投げて衣の塵を払ふて居る馬の前足の下に小さな親仁を見向いて、(為様がないねえ、)といひながら、かなぐるやうにして、其の細帯を解きかけた、片端が土へ引かうとするのを、掻取つて一寸猶予ふ。
泉鏡太郎 高野聖 青空文庫
其時、頤の下へ手をかけて、片手で持つて居た単衣をふわりと投げて馬の目を蔽ふが否や、 兎は躍つて、仰向けざまに身を飜し、妖気を籠めて朦朧とした月あかりに、前足の間に膚が挟つたと思ふと、衣を脱して掻取りながら下腹を衝と潜つて横に抜けて出た。
泉鏡太郎 高野聖 青空文庫
頭巾をば掻取りたる、小親の目のふち紅かりき。
泉鏡花 照葉狂言 青空文庫
――村の人も婦を連れて、引立てて――村人ら、かつためらい、かつ、そそり立ち、あるいは捜し、手近きを掻取って、鍬、鋤の類、熊手、古箒など思い思いに得ものを携う。
泉鏡花 多神教 青空文庫
お留守、) と遣ると、……そこもやっぱり開いたままの、障子の陰の、湯殿へ通う向うの廊下へ、しとしとと跫音がして、でも、黙然で、ちょいと顔だけ見せて覗いたが、直ぐに莞爾して、縁側を奥座敷へ上った姿は…… 帯なし、掻取り気味に褄を合せて、胸で引抱えた手に、濡手拭を提げていた。
泉鏡花 沼夫人 青空文庫