帯樹
おびじゅ
名詞
標準
文例 · 用例
日本画部から受けた灰色の合成的印象をもって洋画部へはいって行くと、冬枯れの野から温室の熱帯樹林へはいって行くような気持がするのは私ばかりではあるまい。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
彼等はアダの話で夢中なのだがアダがかつて土人街に蟄居していた日本の売笑婦だと云ったり、或るものは自分はヴィクトリア公園の熱帯樹の下を黒奴の中年の紳士と日傘をさして歩いていた彼女を見かけたことがあると真実らしく話して、彼女が洋妾だろうと云う。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
鬱蒼たる熱帯樹に蔽われ苔に埋もれてはいるが、素晴らしく大きな玄武岩の構築物だ。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
出帆前の華やかな混雑も煩さいままに、独りで、ガアデン・ルウムに入って行ってみると、すでに先客がひとり、ひっそりとした青い空気のなかで、硝子越し一杯の陽光を浴びながら、熱帯樹の葉っぱを弄んでいました。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
繋船木曜島南湾、路入濠洲最北関、赤日炎風涼何在、只余熱帯樹陰山。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
園内またひろく、多く熱帯樹の繁茂せるを見る。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
市外に接したる所に、樹木の繁茂せるあるも、その多くは熱帯樹にして、熱帯圏内の国に入るがごとし。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
九月葡京路、秋来暑未除、納涼何処好、熱帯樹陰廬。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫