戸人
へひと
名詞
標準
文例 · 用例
人と逢つても体を崩さないといふところがある、福田平八郎は京都住ひではあるが、その点全く江戸人のやうな鉄火肌のところがあり、開放的でザックバランだ、おしやべりかといへば、どつちかといふと無口の方だが、開口一番するや思つたことをズバズバ言つてのけるといふ性格で彼の描く絵のやうに明確なものがある。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
「此あたりに佳境ありてむかしより詩歌にも人口にもあらはれざりしを、近比江戸人見出して絶景なりとし、はるかに大田南畝などに詩をつくらしむ。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
江戸人と違心を用候事感心いたし候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
「兜の小判や二朱銀をぬすんだ泥坊は、夜叉神堂の前まで来ると、急に体がすくんで動けなくなったので、盗んだ金をお堂の縁に置くと、再び歩かれるようになったそうだ」 奇を好む江戸人は眼を丸くして、その噂に耳をかたむけた。
— 夜叉神堂 『半七捕物帳』 青空文庫
そんな考証はしばらく措いて、目黒行人坂の名が江戸人にあまねく知られるようになったのは、明和年間の大火、いわゆる行人坂の火事以来である。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
江戸開府以来の大火は、明暦の振袖火事と明和の行人坂火事で、相撲でいえば両横綱の格であるから、行人坂の名が江戸人の頭脳に深く刻み込まれたのも無理はなかった。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
とにかく大多数の江戸人が見ず知らずの赤の他人である中に、彼等ばかりは故郷たる町内を持っていた。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
これらの刺客の多くが水戸人であることもわかって来た。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫