男鰥
おとこやもめ
名詞
標準
文例 · 用例
孔雀はその前の年に雌に死別れた男鰥だつたのに、雌鶏には一向見向きもしないで、鳥冠の紅い雄鶏ばかりをつけ廻してゐた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
彼は妙に落着きがなくなり、大抵の男鰥がそうであるように、だんだん疑い深くなり、吝嗇くさくなって行った。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
なるほど男鰥夫の住居らしく散らかってはいたが、さして困っている生計とも思われない。
— 霙橋辻斬夜話 『早耳三次捕物聞書』 青空文庫
この先の五丁目次郎兵衛|店に同じく小物渡世で与惣次という四二近い男鰥が住んでいて、たいして別懇でこそなけれ、藤吉も彦兵衛も勘次も朝夕顔を見れば天気の挨拶位は交す仲だった。
— 槍祭夏の夜話 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
先年妻を先立たせて以来、側室も置かない男鰥の生活、それだけ真面目な人物であったが、娘を愛する心持ちは、人いちばい勝れていた。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
デュティー・ティリンガストという名の、生まれが良く社会的に汚点のない男鰥で、その一人娘のイライザが、跡取り娘であるという点を除いて、考えられる全ての利点を備えているようだった。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』 青空文庫
「はゝあ」「子供の三人ある男鰥が子供の三人ある後家さんと結婚して又子供が三人出来たそうだ。
— 佐々木邦 『社長秘書』 青空文庫
俺はもう何うせ老人だし、男鰥だ。
— 佐々木邦 『人生正会員』 青空文庫